仕事と育児。おまけに投資、始めます。

フルタイムワーキングマザーの忘備録。投資初心者です。

「保育園落ちてもいい親たち」記事に想う保活の冷酷さ。

記事とそこに寄せられたコメントを興味深く拝読しました。

保育園に受かりたい親がいる一方で、落ちたい親がいるといいます。

 

時短で働くより、育児休業手当金の方が高い。(事実!)

復帰後は本当に大変だから、気持ちがわかる。

 会社役員の夫を持っているのに、贅沢だ。などなど。

 

様々な声を要約すると、違う立場の人たちが、自分の立場から意見を書いているのですが、本当に状況は複雑です。

彼らの立場をそれぞれ紹介するとこんな感じでしょうか。

 

・世帯収入が少なくて働かざるを得ないことに怒ってる人

多くは、保育園に入れないことよりも、なぜこんなに自分たちの収入が少ないんだということに憤りを感じている。

行政には保育園をつくることより、手当や補助金景気対策などで自分たちの経済状況をなんとかしてほしいと思っている。

 

・とりあえずこどもを預けて働くことを選んだけど、ハードに働くことに自信がない人

収入もあった方がいいし、とりあえず仕事を続けることを決めたけど、いきなり週5勤務とか正直自信ない。こどもとももっと一緒にいたいし。保育園決まらないといいなぁ。

でもお金は欲しいし、育児休業手当はできるだけ欲しいよね、と思っているなんとなく流されやすそうな人。

結局育児休業だけとってやめちゃったり、正社員だったのに契約とかパートとかに変えたりする。

 

・絶対働きたい人

お金のあるなし関わらず、絶対仕事続けたいし保育園にはなんとしても入りたい。

保育園に入れないなら署名集めて訴訟するくらいに思っている。

 

・こどもは母親が育てるべきと思ってる三歳児神話派。

仕事してる母親なんてこどもがかわいそう。保育園に入れて仕事したいなんて、よっぽど貧乏なのか、愛情がないのね、と思っている昭和っぽい人々。

 

・短時間パートあるいは専業主婦にも関わらず、なんらかの保育サービスを利用している人

こういう人もやっかみの対象になります。

民間の保育施設だと就労証明は不要のところもあります。

私の知り合いのママにも、働いていないのに1歳から週3くらいで民間の保育施設に預けている方がいました。習い事感覚のようです。

 

・とにかくお金があって教育命な人

こどもは保育園よりは教育プログラムの充実した私立の幼稚園とかに入れたい。夫婦で高収入なので英語教育もできるベビシッターさんを雇ったりする。

保育園にはもっと教育に力を入れてほしいと思っている。

 

・自営業等で働いていて保育園に入れない人

産後すぐ働かざるを得ないのに、義理の両親も一緒に暮らしていたりして、保育園入園はほとんど無理。

行政には頼れないことをよくわかっていて、そもそも諦めており、親族でこどもの面倒を見ている。

 

・シングルマザーや未婚の母、夫や自分の借金、病気などひっ迫した状況で家計を支えなければいけないのに、そもそも仕事がないので保育園に入れない人。

 

本当にお金がない人、というのはそもそも仕事がありません。また頼れる親族や友達がいない、こどもに障害があったり自分に持病があるなど、二重三重の困難を抱えていることも多いです。

仕事がないということは、育児休業手当金もないし、こどもを預けて就職活動できないし、保育園には入れないしということで、八方塞がりの状況だったりします。

 

そういう人こそ、優先的に行政で支援すべきと思うのですが、仕事がないから保育園に入れないというのは矛盾していますね。

仕事探しと保育園探しは、同時に行政などの支援でやっていかないと、生活保護しか道がなくなってしまいます。

 

こういった立場の人たちは、非常に苦労しているにも関わらず、「お金も仕事もないのに無責任にこどもを産むな」と言われてしまい、発言すらしにくい状況にあります。

  

そう考えると、好きなだけ育児休業をとれ、なおかつ育児休業手当金が出る企業で働いているということは、非常に恵まれています。

そしてそういう企業に勤める者だけが保育園を利用するというのは格差を広げる要因になります。

 

世帯収入がない、あるいは少ない場合、個人でこどもの保育を頼むことは難しくなります。

こどもの保育を頼むことができなければ、親は就職のためのなんらかの活動をすることができません。

保育園が無理なら、短時間無料で預かるなどなんらか保育サービスを行政で提供すべきです。

 

保育園が決まった人は低料金で毎日8時間以上預けることができ、そうでない人はまったく利用できないというシステムは不公平です。

8時間ではなく、短時間でもニーズに合わせて利用できるような柔軟な保育サービスが求められます。

 

「保育園に落ちてもいい親たち」は、仕事をしてもいいが、フルタイムでは働きたくないという人々です。

短時間でも保育園を利用できるようすれば、少しの時間、あるいは週何回か働くという選択肢も選べるようになります。

 

現在の保育園選考のシステムでは、親たちの多様な状況やニーズに、まったく合っていないという実感があります。

 

保育園問題とは、現代のこどもをめぐる格差や経済状況等、様々な問題を内包しており、非常にナイーブな問題だと言えます。

 

同じ立場でも考えは違うでしょうし、相手の立場にたっても理解できない、ただの甘えだ、自己責任だ、という意見もあるかもしれません。

 

ただ、現状困難を抱えている親に対して対策することは、こどもを守る上でも大切なことだと思います。